腕時計の基礎知識

時計の種類

機械式時計(手巻き・自動巻き)

リューズ操作によってゼンマイを巻き上げる手巻きと、腕の動きによって機械内部のローター(重り)を回転させてゼンマイを巻き上げる自動巻きがあります。機械式時計はメーカーやモデルによって異なりますが、手巻きの場合はリューズを巻き止まりまで巻き上げ、自動巻きの場合は腕に装着して約8時間程度で、1日から2日程度動きます。

クォーツ時計

クオーツ時計は、ゼンマイの力を使用せずに、電池を動力として作動します。機械式時計と比較して、クオーツ時計は高い精度が特徴で、安定して正確な時間を刻むことができます。クオーツ時計に搭載された水晶は、電池からの電気を通して正確なリズムを生み出し、時間を刻んでいます。電池が切れるまで作動が続きますが、電池の寿命はメーカーやモデルによって異なり、一般的には約1~2年です。電池が交換が切れた場合は、電池交換が必要です。

時計の各部位のパーツ名称

ケース

腕時計の機械(ムーヴメント)を納め、ムーブメントなどをチリやホコリ、衝撃から守る役目を果たします。本体もしくは側(ガワ)とも言います。

ベゼル

風防の周りに取り付けられたダイアルを風防の外周部分。スポーツモデル等では経過時刻計測などの機能を持つものもあります。 モデル形状により種類が異なり、固定式、回転式、逆回転防止ベゼルなどがあります。

ラグ

ケースとブレスレットまたはベルトを接合する部位の事。ケースと一体化しており、通常はケースと同じ素材が使われています。

インデックス

ダイアル(文字盤)上にある時刻(時分を示す数字や表記)を読み取るための目盛りの事です。数多くの種類があり、棒状(バーインデックス)、アラビア数字(アラビックインデックス)などがあります。

ムーブメント

時計にとって最も重要な箇所。動力機構部分であり、時計のすべての機構をつかさどる部分となります。 機械式ムーヴメントには、ゼンマイで駆動する手巻きと自動巻き、電池で駆動するクォーツの3種類があります。 ムーブメントメーカーにより付けられる型式番号のことをキャリバーと呼びます。表示は「Cal.」と記されることが殆どです。

ベルト

時計を腕に装着するための部位。ストラップ、バンドともいわれ、金属、革等いくつかの素材があります。金属製の場合にはブレスレットと呼ばれています。

カレンダー

ダイアルの一か所に日付を表示するデイト、日付と曜日の両方を表示するものはデイデイトと呼ばれています。

リューズ(竜頭)

主にゼンマイを巻き上げる巻き芯に固着されている時計の側面につけられた突起のこと。時刻合わせや機械式の腕時計ではゼンマイを巻くためにも使われます。

ダイアル

文字盤のこと。針やインデックスなどが載った盤で、様々な色や素材、宝石が使用されています。フェイスと呼ばれる場合もあります。

風防

時計表示部分や内部を保護するために、文字盤の上に設置されたガラスやプラスティック、サファイアガラスなどの名称。 時計を衝撃や水圧、摩擦や傷、光の反射などから守るために耐久性、視認性が高める工夫が施されております。

フラッシュフィット

ケースとブレスレットのつなぎ目を保護する役割を持っています。

駒(コマ)

ブレスレットを構成するパーツです。足したり、減らしたりすることで、腕周りの大きさを調整できます。

クラスプ(バックル)

ブレスレットを構成するパーツです。足したり、減らしたりすることで、腕周りの大きさを調整できます。 腕に時計を通した後、腕から外れないように固定できます。また微調整することで腕周りの大きさを調整することもできます。

時計のよくある機能や用語

精度

時計は使う環境や姿勢差等により精度に多少の誤差が生まれます。クオーツ時計は月差と呼ばれる1ヵ月間に±15秒程度の誤差を生じるものが一般的です。機械式時計は現行の新品・中古品で日差と呼ばれる1日に±5~20秒程度、アンティークは個体により大きく異なりますが、1日に約±30秒~2分程度の誤差が生じる場合があります。その他に、機械式時計の場合、ゼンマイの巻き上げ量が基準に満たない場合は著しく精度が狂う場合があります。充分に巻き上げてから、ご使用ください。

防水性

時計には防水性能が備わっているモデルがあり、使用目的によって30m、200m防水などの様々な性能目安が設定されています。30mから50m防水では、汗や普通の雨、手洗いのときに濡れる程度までは耐えられますが、入浴や豪雨の時は危険が生じます。これを日常生活防水といいます。100m以上200m未満の防水性能では、時計本体が軽く水に浸かる程度なら問題ありませんが、水泳・ダイビング等のマリンスポーツにはご使用頂けません。200m以上の防水性能が備わっていればマリンスポーツ等にご利用いただけますが、ご使用方法によっては水圧が防水性能を上回る場合があります。ダイバーズウォッチでない限り、水場でのハードなご使用は避けることをおすすめいたします。また、リューズがしっかりと締まっていない場合や定期的なメンテナンスを行っていない場合は防水性能に関わらず、浸水することがありますのでご注意ください。非防水の時計は汗や雨のしずくなどがかかっただけでも浸水する場合がありますので充分にご注意下さい。※中古品・アンティーク等は経年変化のために、新品当時の防水性能を備えていない時計もございます。

ハック機能

ハック機能とは、一部を除き、リューズを一杯に引き出した時に秒針が止まる機能を指します。1960年代以前の時計は、ほとんどがこの機能を持っておりません。また、現行品でもこの機能が付いていない時計も多く存在しています。

ねじ込み式リューズ

ねじ込み式リューズは、時計の防水性を高め、湿気などからムーブメントを保護するためにねじ式の構造になったリューズです。まっすぐに押し込みながらゆっくりと締めてください。途中でひっかかるといった違和感があった場合は、一度リューズを緩めてから、もう一度やり直してください。無理にねじ込んでしまうとねじ山がつぶれねじ込み不良を起こし、内部故障の要因となってしまうことがございます。

時計のお取り扱いの注意点・よくある故障の原因

時刻・日付合わせ

時計は基本として、右回り(時計回り)に動くように製造されています。時刻、日付調整の際に左回し(逆回し)を行いますと、故障の原因となる場合がございますのでご注意下さい。日付は23時半頃~3時頃までの間で、自動的に多くの機種が切り変わりますが、機械内部では20時前後から日付送りの準備が始まり4時前後に動作が完了します。この時間内に日付の早送り調整を行いますと機械の設計上、故障の原因となります。日付の早送り調整を行う際は必ず先に針を回して、午前と午後の確認それから時計自体の時間で、20時~4時の間を避けて行って下さい。

衝撃

機械式時計の精度の要はおよそ0.1mmに満たない厚さの金属を巻いたひげゼンマイです。また、ひげゼンマイを含めた時計内部の微細でデリケートな部品の変形や破損から守る為、腕に強い衝撃がかかるスポーツや作業をするときは機械式時計を外してください。また、機械式時計に限らず、ぶつけてしまったり、落としてしまった場合にも同様に故障の原因となりますのでご注意ください。

磁気

日常のご使用で磁気製品などが原因で時計の止り叉は遅れが生じることがあります。これを「磁気帯び」といいます。もし、磁気帯びをしてしまった場合、特殊な装置で磁気を取り去ることもできますが、これはあくまで応急処置の簡易作業で、磁気を帯びている部品の箇所によってはオーバーホールや部品交換などが必要になります。日常的に時計を携帯電話、パソコンやテレビのスピーカー、電子レンジ、そしてバッグなどのマグネット留め具等の強い磁気を発する製品の近くに置いたり、近付けないようご注意ください。

温度、紫外線

その他、温度の変化によっても、時計は精度が狂う場合がございます。特に機械式時計の場合は、暑いところでは遅れ、寒いところでは進みがちになることがあります。また、急激な温度変化は風防のくもりやケース劣化などの原因となります。直射日光による紫外線は、文字盤の変色や劣化の原因になります。

薬品等の影響

酸性やアルカリ性の水溶液が、金属を溶かしたり表面状態を悪化させることがあります。こういった薬品の近くで使用、保管される際には、ご注意ください。

時計のお取り扱いの注意点:人体への影響

 

金属アレルギー

人体には無害な金属ですが、汗などによってイオン化したものが、体内に取り込まれ、アレルギー症状を引き起こす場合があります。着用時や着用後、皮膚に腫れやかゆみ、かぶれ等の異常が生じた際は、ご使用を控え、速やかに医師にご相談ください