腕時計のメンテナンス入門編
せっかく高級な腕時計を購入したのなら、見た目も機能も良いコンディションを長く維持したいもの。
そのために最低限必要なメンテナンスについて解説します。
適切なご使用方法
基本的な注意点として、落としたり、強くぶつけたりしないことがあげられます。
腕時計は精密機械ですので、ていねいに取扱っていただくことが重要となります。防水に関しては、日常生活防水以上であれば、普段の手洗い程度は問題ありません。リューズがきちんと締まっていることを確認し、行ってください。革や布地のベルトは、濡れると劣化を早めますので、外すことをおすすめしています。
簡単なお手入れ方法
着用後は専用時計クロス、セーム(鹿)革や柔らかい布で、汗や汚れ、ホコリ等を拭き取ります。
海水等に浸った場合は、リューズをしっかりと締めたあとで、真水の流水で洗い流します。
洗ったあとは、柔らかい布できれいに水分を拭き取りましょう。
磁気を避ける
日常のご使用で磁気製品などが原因で時計の止り、または遅れが生じることがあります。
もし、磁気帯びをしてしまった場合、特殊な装置で磁気を取り去ることもできますが、これはあくまで応急処置の簡易作業で、磁気を帯びている部品の箇所によってはオーバーホールや部品交換などが必要になります。
日常的に時計を磁気製品の近くに置いたり、近付けないようお気をつけください。
スマホ、パソコン、TVから発せられる磁気は機械式時計の大敵ですので要注意。
点検、修正
動作がおかしい、部品が外れたといった不具合が起こった場合は、メーカー、購入店や時計修理店に、点検や修正をご依頼ください。
また、特に不具合がなくても定期的なメンテナンスをおすすめしております。
定期メンテナンス
一般的な機械式時計の場合は3~5年に一度、クオーツ時計の場合は電池交換の際に、防水検査を含めたオーバーホールをおすすめしております。
オーバーホール
機械式時計は、内部の機械を分解洗浄し、それぞれのパーツを点検して摩耗部品は交換いたします。それから長期間の潤滑な動作のために油を継ぎ足しながら、再度組み上げます。
また、クォーツ時計も機械式と同様に歯車で動いています。
機械内部の保油状態、電池の漏液、汗等水気の侵入などで故障してしまうケースもございますので、電池交換のタイミングなどでオーバーホールに出していただくことをおすすめします。
※オーバーホールのほかに、別途、外装磨き(仕上げ)を行うことにより、新品に近い輝きを取り戻すことができます。
時計のよくある故障の原因・症状
時計が動かない
リューズを引き出したままになっていませんか?または、ゼンマイの巻き上げが不足していませんか?自動巻き、手巻き共に充分にゼンマイを巻き上げてからご利用ください。クォーツの場合は電池切れの可能性が高いです。
日付けが切り替わるタイミングがおかしい
午前0時近辺で切り替わるモデルもあれば、午後11時30分頃~午前3時頃に掛けて、徐々に切り替わりが完了するモデルもあるなど、内部機械によって切り替えタイミングは多様です。昼の12時近辺で切り替わる場合は、約12時間ずれで時刻がセットされていることが考えられます。手動にて時間を12時間進めて、正しい時刻をセットし直してください。
日付けがずれる
一部の特殊な機構を搭載しているモデルを除き、2、4、6、9、11月の末尾翌日は、手動によるカレンダーの調整が必要となります。
文字盤がくもる
屋内外の急激な温度変化によりくもりが発生した可能性があります。その場合は一時的な現象ですぐに解消されますが、くもりが長時間にわたり解消されない場合は修理が必要となります。また、時計内部への水分混入が疑われる場合は、速やかに修理をご依頼ください。
水に濡れた
防水性能があっても、汗や水分はサビや汚れ、不具合の原因となります。水に濡れるようなことがあった場合は、乾いた布等で水分を拭き取り直射日光の当たらない風通しの良い場所へ置いてください。
時計を振るとおかしな音がする
自動巻の場合、内部機械のローターが回転しゼンマイを巻き上げる際の回転音があります。一部ムーブメントでは、大きな音を発しますが故障ではありません。機械内部の油が切れてくるとスムーズな回転をせず、異音が大きくなることもありますので、メンテナンスが必要になります。不規則な異音の場合は部品の破損等が考えられますので、早めの点検をおすすめいたします。